夏は私の一番好きな季節です。大いに「汗」を出して、体内の毒素を出しきりましょう。ここでも、進藤先生に登場していただきます。進藤義晴先生の「医者知らず『冷えとり』で完全健康人生(海竜社)」からのお話です。

 進藤先生のお言葉をお借りしますと、「夏は心臓の季節です。これまで心臓は働いて溜めていた疲労、つまり毒素を一気に吐き出し、心臓の病気を治そうとしているのです。この毒素は、主に『汗』となって出てきますから、夏の汗は大切な役割を持っているのです。それを、冷房に頼って涼しい涼しいと汗をかかないで過ごしてしまうと、心臓の負担が大きくなって、後でつらい思いをしなくてはなりません。自然の法則にはなるべく従い、汗をかく季節にはたっぷり汗をかいた方がよいのです」。

 夏には、大いに汗を出して、心臓の毒出しをなさってください。夏こそあえて、体を使って汗をかいた方が体に良いということです。汗の思い出として、小学生の時に夏休みになると、毎日、地元の大和川へ泳ぎに行っていました。昭和34年から39年頃だと思いますが、蜆取りも兼ねて、パンツ一枚の姿で、バケツを持って、隣のお兄ちゃんと一緒に、30分程度の道のりを歩いて行きました。

 泳ぎ疲れると、今度は砂浜で蜆とりです。ちょうど小さな穴が開いていて、そこを掘ると必ず蜆がいます。蜆取りに飽きると、また泳ぎます。そのうち、バケツいっぱいに蜆が取れます。帰りは重たいバケツを持っているので、体中が汗だらけになりながら帰宅します。夕食には蜆汁がでます。捕れたての蜆ですから、体にも良かったのでしょう。今考えると、夏に汗をかき、体の良い蜆を毎日食べていたから、一日も休まず学校に通い皆勤賞をいただきました。

 進藤先生いわく、「汗を多くかくと体が疲れるという人がいますが、これは汗のためではなく、足元の『冷え』が原因です。夏の暑い日差ざしで、肩や頭などが一層熱くなった結果、足元が逆に『冷え』の状態になり、内臓の働きを低下させて夏バテを引き起こすのです」。

「そこで、夏こそ足元の冷えに心配りをし、靴下を多めにはき、下半身の衣類を重ねるようにすると、血液のめぐりがよくなり、内臓の働きがよくなるので、汗がよく出るようになります。この時の汗は暑苦しい汗ではなく、気持ちのよい汗に変わります」。

 同じ汗でも、気持のよい汗があるのですね。そう言えば半身浴も気持のよい汗を出してくれて、毒を出してくれます。その汗がお湯の中に入っても、次に入る人に全く影響がありません。やはり、気持よい汗だからでしょうね。

 さらに進藤先生は、「夏は心臓だけでなく、消化器(胃・膵(すい)臓)の季節とも重なっています。そのため、靴下をはいて足元を温かくしているのに『夏バテ』のように食欲がなく、胃腸の具合が悪いという症状が出てきます。しかし、これは消化器が、疲労などの毒素を出して治ろうとしているのですから心配いりません。飲みすぎないよう、食べすぎないように気をつけていると、夏バテと違って秋風の吹く頃、心臓も消化器も毒出しを終わり、すっかり調子のよくなった自分の体に会えるはずです」。

 なるほど、夏は心臓と消化器の毒出し季節なんですね。季節に応じた毒出しがあり、その季節に適した対応をしなければならないことがよく理解できます。すると、夏に適した食べ物はどんな物があるでしょうか。

 これに関しても、「夏はそうめんや冷やむぎ、麦茶など、麦でできたものをいただきますが、麦は肝臓の薬穀ですから、心臓の毒を引き受けている肝臓がよく働けるようにとうまく食事にとり入れているのです。ただし、ビールやウイスキーなどの酒類はいけません。夏野菜のトマト、キュウリ、ナスは汗や熱を発散させる性質を持っていますが、他の季節は体を冷やすのでよくありません。加熱調理するか、漬けものにして食べてください」。

 夏野菜のトマト、キュウリ、ナスは、夏に食べてもいいですが、特に冬に食べるものでないと理解しました。夏野菜は体を冷やすので、暑い夏以外は極力食べず、旬に応じた野菜を食べることお勧めします。