ローマン先生は、奈良の王寺町で鍼灸院をされていて、漢方薬のお店も鍼灸院の隣で経営されています。開業当初に鍼灸院の届出と、薬局の開設のお仕事をさせていただいた私の事務所の得意先でもあり、現在もお世話になっています。

 ローマン先生は、お灸と漢方薬と食事療法で、難病・奇病の患者さんを治される名医です。先生の鍼灸院は、普通の鍼灸院ではありません。西洋医学では治らない患者さんが紹介で来院されます。なぜか、そういう患者さんばかりです。先生のことを知り、日本全国から来られます。一人の患者さんに最低一時間から二時間は診察されますので、一日に多くの患者さんを診ることはできませんが、非常に繁盛しています。過去に何度もマスコミが取材に来ましたが、テレビに出演するなど、そういうことが一切嫌いな先生ですので、いつも拒否されていました。

 それよりも、常に患者さんを一日も早く治すことに関心があって、毎朝四時に起きて、患者さんを治すための勉強されています。

 ローマン先生は、漢方薬を併用されますが、患者さんの「食事の献立」を示されて、これを実践するように勧められます。実践しない時は、「よその病院に行ってください」と大和弁で話されます。来日されて半世紀近くなりますが、日本語は達者で、漢字については、日本人が知らない漢字までよく知ってらしゃいます。オランダ人ですが、オランダ語はもちろん英語もペラペラです。

 ローマン先生は甲田先生と同じで、断食の効用もよく知っておられ、患者さんにも一日断食を勧められています。先生自らも食べ過ぎた日には、一日や二日程度なら断食を実践されて、いつもと変わらず元気に治療されています。ご自分で、ご自分の体を上手にコントロールされていますから、今日まで先生が病気をされたことを聞いたことがありません。ある意味、断食の名人でもあります。それゆえに、普段、口にする食べ物が人間の体にどのように影響するのか心得た上で、患者さんの治療に専念されています。もちろん、西洋医学で使う薬は一切使用されず、薬は漢方薬だけです。その漢方薬も最高のものを使用されて、患者さんに服用されます。安物の漢方薬は一切使用されません。

 ローマン先生は、食事療法の一つとして、「芋茎(ずいき)」を患者さんに、いつもよく勧められています。これでもかと言うぐらい勧められます。先生いわく「芋茎は体から毒を出してくれて、内臓をきれいにします」。やはり、体内の毒出しは重要であることが分かります。

 ローマン先生も甲田先生同様、「体内の毒出し」の名医であり、機械による検査結果ではなく、患者さんに聴診器を当て、その鼓動で病名を判断されます。また、目や舌を診断され、顔の表情も診られて、どこが悪いのかが解る、本当のお医者さんです。