広域認定制度をご存じでしょうか。これは製品が廃棄物になった際の処理を、その製品の製造事業者等が広域的に行なうことによって、廃棄物の減量と適正な処理が確保されることを目的としています。

環境大臣の指定を受けることで、各都道府県等における個別の産業廃棄物の収集運搬・処分業の許可が不要となります。

コピー機を製造販売しているA社の例で説明しましょう。

消費者がA社のコピー機を使用して廃棄物となり、新しいコピー機を再度、同じA社から購入するとします。A社が新しい製品を消費者に届けると同時に、古くなったコピー機(廃棄物)を回収し、自社工場でリサイクルしようとしても、廃棄物を運搬・処分するには、産業廃棄物収集運搬の許可が、発生および搬入する各都道府県等で必要になります。この時の排出事業者は、消費者になるからです。

しかし、広域認定制度の指定を受けることで、廃棄物となった製品の製造事業者が、指定された製品に限って、収集運搬および処分業の許可を不要とすることができるのです。

この制度の目的は、拡大生産者責任によるリサイクルを推進することです。この制度を利用することで、販売の際に構築した輸送システムを、回収にも広域的に利用することができ、製品の性状や構造を熟知している製造事業者が処分に携わることで、第三者にはない適性処理のメリットが得られます。逆に言えば、そのメリットがない場合には認定を受けられません。

加えて、製造事業者にとっては、廃棄物管理を自社で行なうことによって、自社の製品が不適正処理されるリスクを低減することができます。

コピー機以外にも、タイル、バイク、建築材料などの製造メーカーが認定されています。

処理を委託することを前提に策定されている廃棄物処理法のもとでは、逆に効率的なリサイクルが進められていないケースもありました。廃棄物の搬出先と搬入先の、それぞれの自治体の収集運搬業許可が必要になることもそのひとつです。

広域的にリサイクルを進めようとする際に、必要な許可を複数取得しなければならないことが、ひとつの足かせになります。広域認定制度は、このような自治体の枠を超えた広域的なリサイクルを推進するために、創設されました。

広域認定制度を利用し、廃棄物の収集・処分を行なう場合には、マニフェストの運用は義務付けられていません。しかし、マニフェスト同様の廃棄物管理が求められます。そのため、販売時に構築した物流システムを活かす、もしくはマニフェストを運用する、などの方法があります。